土木・建築現場の効率化に欠かせないレーザーレベルとは?種類・使い方を紹介

一般的にレベルというとスタッフ・箱尺というメモリの付いたバーとセットで高低差を測る水準測量に用いられる測量機器です。

建設現場では、足場や構造物が傾かないように水平レベルになっているか確認するためにも用いられます。

そんなレベルにもいくつかの種類がありますが、中でもレーザーレベルと呼ばれるものは実際はレベルのような精度もなく、使い方も少し異なったものになります。

今回はそんなレベルの種類とレーザーレベルについて紹介したいと思います。

1 レベルの種類

1-1 ティルティングレベルチルチングレベル

ティルティングレベルは一昔前の測量機器で、現在はあまり見かけることはありません。
発音しにくいためチルチングレベルと呼ぶ方もいます。

レベルを使うには、視準線が水平になるよう本体を据え付ける整準必要があります。

チルチングレベルの据え付けは、まず大まかに水平になるよう円形気泡管を見ながら3脚を固定し、次に、より感度の高い棒状気泡管の気泡の高さを合わせて水平に調整していきます。

棒状気泡管は面ではなく直線状の水平を確保するものなので、北南方向が水平になったら次は東西方向と望遠鏡を回転させて別の方向からも棒状気泡管を合わせる必要であり、整準に時間を要します。

整準後の測量は、オートレベルと同じで標尺(箱尺・スタッフ)を持つ人と、レベルを視準して値を読む人と分かれて作業を行います。

1-2 オートレベル自動レベル

現在レベルというと、通常はこのオートレベルのことを指します。

オートレベルはその名前にもあるように、自動で水平に合わせるための補正装置が付いています。機種によって補正の程度は異なりますが、アバウトに円形気泡管さえ合わせておけば後は自動で水平に調整してくれるため据え付けがとても楽になりますし、据え付けによる誤差が一定になり精度面でも有利になります。

据え付け方法は大幅に進化していますが、その後の測量方法はチルチングレベルと同じです。

1-3 電子レベルデジタルレベル

電子レベルは測量方法が大きく異なります。

レベルの据え付けや標尺の読みで高低差を算出する原理は同じですが、メモリがバーコード状になった専用の特殊な標尺を用いることで、人間が読まなくても機械がメモリの値を読み取り、標尺までの距離と合わせてデータで記録してくれます。

個人による視準時の読み取り誤差がなくなることや、デジタルデータとして記録されるためそのまま電子野帳に使用することができます。

3種類のレベルを紹介しましたが、一般的にレベルというとこれら測量機器のことで、レーザーレベルは目的や使い方が少々異なります。

2 レーザーレベル回転レーザーとは

先に紹介したレベルは望遠鏡で高低差を測るための機器でしたが、レーザーレベルは高さを読み取る機器ではなく、どちらかというとレーザー水平器、レーザー墨出し器と呼ばれる機器の仲間で特定の水平ラインを明示するための機器になります。

本体から水平または特定の勾配でレーザー光を照射し、受光器で受けることで任意の地点で基準とする高さを得ることができる機器です。

回転レーザー

回転レーザーと呼ばれるものは、レーザー照射部分が回転することで360度全方向へレーザーを照射することができます。レーザーの光は点滅したような見え方なので目視ではどこがレーザーのラインか見えにくいですが、基本的には受光器と呼ばれるレーザーを検知する機器を使うことでレーザーの当たる位置を把握することが可能です。

明るい屋外でも使用することができ、高性能な機種ではレーザーの照射範囲が直径1kmを超えるものもあるので、造成工事や舗装工事など広い施工範囲において高さや、水平・勾配を出す作業に向いています。

レーザー墨出し器

一方レーザー墨出し器は、レーザーの照射装置を複数備えており、水平・垂直・大矩など複数のラインを照射します。床、壁、天井などにまとめてラインを照射でき、回転レーザーのように光がチラつくこともないため、屋内の墨出し作業に向いています。

しかし、回転レーザーに比べてレーザーの到達距離が短いものが多く、明るい場所では受光器を使っても数十mしか使えないものがほとんどです。

レーザーレベルはメーカーによってローテーティングレーザーや回転レーザーなど様々な呼び方があり、レーザー墨出し器と混同して呼ばれることもありますが、若干特性が異なるので作業用途に近い方の名前で検索すると、目的のものが見つかりやすいと思います。

2-1 レーザーレベル回転レーザーの使い方

レーザーレベル、回転レーザーと呼ばれる機器は直射日光下でも広範囲にレーザーが届くため、屋外での使用に適しています。

一般的な使い方と機種によって可能な使い方をご紹介します。

①回転レーザーで水平面・高低差を測る

回転レーザーは次のような使い方ができます。

水平面を確認する

土地の造成工事などで広範囲で設計高と掘削・盛土高を確認しながら作業しないといけないときにいちいちレベルとスタッフで見ていては最低2人は必要ですし時間もかかります。

しかし、回転レーザー1人でも作業できますし、作業もとても簡単です。

回転レーザーは据え付けたらレーザーを水平に照射して回転させておきます。

受光器は角材や標尺に取り付けておき、受光器をレーザーの高さに合わせたときに設計高となる高さに目印を付けたり、端部を合わせておきます。

後は移動しながら受光器を合わせていくだけで、簡単に設計高がどの高さか知ることができます。

回転レーザーを使い水平面を確認する方法と高低差を測る方法

高低差を測る

地形や既設構造物の高低差を測りたい場合、標尺に受光器を取り付けておけば通常の水準測量の要領で簡易的に高低差が求められます。

この方法も本体を途中で操作する必要はないため、1人で横断面を複数本測ったりするのに便利です。

②レーザーレベルで大矩ラインを出す

回転レーザーは1つのレーザーが回転する仕組みなので360度方向に直線は描けますが、大矩を出すことができません。

しかし、中には回転方向と直角方向にもう1本レーザーが照射できる、レーザーの照射装置が2つ付いたレーザーレベルもあります。

このモデルを使えば、大矩ラインを簡単に出すことができます。

やり方は以下のようにとても簡単です。

  1. 回転レーザーを水平に寝かせる。
  2. 2つのレーザーを回転させずに照射し、地墨に合わせる。
  3. 位置合わせができたら、レーザーを回転させる。

レーザーレベル(回転レーザー)で大矩ラインを出す方法

この方法で大矩も出すことができますが、使用用途としてはレーザーでとばす距離が長かったり、明るい屋外使用の場合などでしょう。

屋内の場合、水平ラインや大矩の鉛直ラインを複数本照射できるレーザー墨出し器の方が見やすく、本体も小さいので持ち運びも便利です。

2-2 レーザー墨出し器の使い方

墨出しとは、設計図を実際の現場に落とし込んでいく作業で、施工に必要な線や寸法などを墨つぼと呼ばれる道具を使って描いていきます。

レーザー墨出し器を使うと水平、垂直、大矩など基準となる複数のラインを照射することが可能で、これを元に必要な墨を出せるので、レベルや定規だけで墨出しを行うよりも効率的に作業を進めることができます。

レーザー墨出し器は明るい場所では光が見えにくいこともありますが、受光器を使えば正確にレーザーの位置を把握することが可能です。

また、墨出しだけではなく、施工時に照射しておいて簡易的に柱・梁・配管などの垂直・水平確認を行う使い方もあります。

レーザー墨出し器は安価なものも増えているので、柱が多い現場などでは複数台を合わせて使うことで、影なく全ての面レーザーを照射して効率よく墨出しを行うことが可能です。

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