性能が高く価格も激安、通信販売で大人気となっているレーザー墨出し器VOICE。
おすすめのグリーンレーザーの5ラインタイプVLG-5Xや後から発売されたフルラインタイプVLG-8Xなど売れ筋の機種はたびたび在庫切れで注文できない状態が続いたりしています。
そんなVOICEはグリーンレーザーの光が明るくて見やすいことでも評判になっていますが、屋外で使えるものなんでしょうか?
明るさ、防水・防塵性能、振動などに対してどの程度使えるものなのか性能や口コミをチェックしてみたいと思います。
1 レーザー墨出し器の明るさ性能
レーザー墨出し器を屋外で使う場合、線の見やすさはかなり気にするポイントですよね。
まずはレーザーの明るさの基準やVOICE購入者の口コミから明るさの評判について調査しました。
1-1 明るさ性能の基準
レーザー墨出し器は屋内で使用するときは問題ありませんが、半屋外とか完全な屋外で光が差し込むところでは急激にレーザー光が見えにくくなります。
レーザー光の出力が高く、より強力なものなら直射日光下でもはっきりと見えるかもしれませんが、あまりに強力なレーザー光であれば、万が一目に当たった時に焼けてしまう可能性があります。
そこで、安全基準を満たしつつ、出力が大きいレーザーの分類がどんなものなのか調査してみました。
まず、レーザーの安全基準はJIS規格で以下のように決められています。
■日本工業規格レーザ製品の放射安全基準JIS C 6802
クラス | 潜在的危険性 |
クラス1 | 直接ビーム内観察を長時間行っても,またそのとき,観察用光学器具ルーペ又は双眼鏡を用いても安全で安全であるレーザ製品。 |
クラス1M |
平行大口径ビーム、または広がりビーム。 クラス1と同様に裸眼光学器具を用いないで,直接ビーム内観察を長時間行っても安全だが、光学器具ルーペ又は双眼鏡を用いて観察すると,条件によっては目の障害が生じる可能性がある。 |
クラス2 | 400 nm∼700 nm の波長範囲の低パワーの可視光を放出するレーザ製品で、顔をよけたり瞬きするなど瞬間的な被ばくであれば安全であるが,意図的にビーム内を凝視すると危険なレーザ製品。 |
クラス2M |
平行大口径ビーム、または広がりビーム。 クラス2同様に裸眼光学機器を用いないで瞬間的な被ばくであれば安全であるが、光学器具ルーペ又は双眼鏡を用いて観察すると,条件によっては目の障害が生じる可能性がある。 |
クラス3R |
可視光ではクラス2の5倍、可視光以外ではクラス1の5倍以下の出力。 瞬間的に偶然見てしまう分には危険ではないが、意図的に凝視すると危険。 |
クラス3B | ビームの目または皮膚への被ばくは危険で、見たり触れたりしないこと |
クラス4 | 高出力のレーザーで、ビームや散乱光の目または皮膚への被ばくは危険。 |
まじまじとレーザー光を見ない限り、クラス2までは安全だと言えそうです。
ここで、市販のレーザー墨出し器の製品は、どのクラスに分類されているか調べてみると、以下のように分類できることが分かりました。
- TAJIMAタジマやmakitaマキタなどの高価なモデルはクラス2
- 山真プロゴリラやGL-5などやFukudaフクダなど安価なモデルはクラス1
レーザー光が明るく見易い製品を探しているなら、レーザーの安全基準がクラス2に分類されているものが良いでしょう。
ちなみにVOICEグリーンレーザー墨出し器はレーザー安全基準2Mなので、10万円以下の安価なモデルの中では光が明るく見えやすい機種であると言えます。
1-2 レーザー墨出し器VOICEの明るさ性能と口コミ
VOICEの明るさに関しては、次のような口コミ・評判がありました。

入れ物の箱はチープな感じでしたが、電源入れたらビックリ、めちゃくちゃ明るかったです。

今まで使用していたドットタイプのグリーンレーザーと比較して
VOICEは昼間の屋外でも少しは見やすいと思いました。

屋外専門ですが、直射日光が当たる場所ではレーザーが見えません。
直射日光下で使う人は受光器を買っておいたほうがいいです。

今まで使っていた10万くらいの赤色レーザー墨出し器は周りを遮ったり、電気を消して使ってましたが、VOICEは壁に向けてもよく見えるし値段も半額なのでかなりいいです。
レーザーの線が太いのはやや気になるところですが、どうせ中心で測るのでこのくらいの線のほうが見やすいし今のところ問題ありません。
VOICE使用者の口コミ・感想を見る限り、VOICEはグリーンレーザー墨出し器の中でもかなり明るい部類に入りそうです。実際に仕様表で明るさ、見やすさを比較すると20~30万クラスの機器と同じような性能です。
直射日光下では見えないという口コミもありますが、小型のレーザー墨出し器を屋外で使う場合は受光器が必須で、通常の使用範囲が25mだとすると受光器を使って15mくらいの範囲でしか使えません。
屋外で数十メートルレーザーを飛ばしたいなら、機体・出力共に大きな回転レーザー系の機器を購入された方が良いでしょう。
ただし、それらを購入した場合でも、屋外ではっきりレーザー光が見えるわけではなく、基本的に受光器と合わせて使用することになります。
2 レーザー墨出し器の防塵・防水性能
レーザー墨出し器は決して安い道具ではないため簡単に故障されては困りますよね。
屋外だけに限りませんが、粉塵や湿気・水分に対する性能の基準やVOICEの防塵・防水性能と購入者の口コミについて調査しました。
2-1 防塵・防水性能の基準
腕時計やスマートフォンケースなどで水にぬれても大丈夫!という防水をうたった製品の仕様には、防塵・防水性能が記載されています。
防塵・防水性能の規格はIP表示というものが世界各国で使われています。
IP:Ingress Protection侵入に対する保護表示はIP〇〇という二つの数字を使って、固形物粉塵などと水の侵入に対する保護性能を表示します。
■IP表示IP〇〇
- 〇:第1数字記号・・・人体・固形物体に対する保護の性能
- 〇:第2数字記号・・・水の侵入に対する保護の性能
■IPIngress Protection:侵入に対する保護規格・防水保護構造及び保護等級
等級 第1数字記号 |
人体・固形物体に対する保護 | |
IP〇〇の部分 | 保護の程度 | テスト方法 |
IP0〇 | 保護なし | テストなし |
IP1〇 | 手の接近からの保護 | 直径50mm以上の固形物体 手などが内部に侵入しない |
IP2〇 | 指の接近からの保護 | 直径12mm以上の固形物体 指などが内部に侵入しない |
IP3〇 | 工具の先端接近からの保護 | 直径2.5mm以上の工具先端や 固形物体が内部に侵入しない |
IP4〇 | ワイヤーなどからの保護 | 直径1.0mm以上のワイヤーや 固形物体が内部に侵入しない |
IP5〇 | 粉塵からの保護 | 機器の正常な作動に支障をき たしたり、安全を損なう程の 料の粉塵が内部に侵入しない |
IP6〇 | 完全な粉塵構造 | 粉塵の侵入が完全に防護され ている |
等級 第2数字記号 |
水の侵入に対する防護 | |
IP〇〇の部分 | 保護の程度 | 保護の程度テスト方法 |
IP〇0 | 水の侵入に対して特には保護されていない | テストなし |
IP〇1 | 垂直に落ちてくる水滴によって有害な影響を受けない | 200mmの高さより 3〜5mm/分の水滴、10分 |
IP〇2 | 垂直より左右15度以内からの降雨によって有害な影響を受けない | 200mmの高さより15°の範囲 3〜5mm/分の水滴、10分 |
IP〇3 | 垂直より左右60°以内からの 降雨によって有害な影響を受 けない |
200mmの高さより60°の範囲 10ℓ/分の放水、10分 |
IP〇4 | いかなる方向からの水の飛沫 によっても有害な影響を受け ない |
300〜500mmの高さより 全方向に10ℓ/分の放水、10分 |
IP〇5 | いかなる方向からの水の直接 噴流によっても有害な影響を 受けない |
3mの距離から全方向に 12.5ℓ/分・30kpaの噴流水、 3分間 |
IP〇6 | いかなる方向からの水の強い 直接噴流によっても有害な影 響を受けない |
3mの距離から全方向に 100ℓ/分・100kpaの噴流水、 3分間 |
IP〇7 | 規程の圧力、時間で水中に沒 しても水が浸入しない |
水面下・15㎝〜1m、30分間 |
IP〇8 | 水面下での使用が可能 | メーカーと機器の使用者間の 取り決めによる |
防水性能については大まかな分類としては等級2以下は防滴、等級3以上は防水とされています。
防水も細かく分けると等級4までは生活防水とされ、水に濡れても大丈夫だが水中での使用に適さないとされており、等級5以上が完全防水とされています。
レーザー墨出し器の場合は、仕様表に防塵・防水の表示があればIP54相当のものと思われ、粉塵が舞うところでの作業や屋外で雨が当たったり水が掛かったりしても直ちに壊れる心配はないので安心です。
※仕様表に防滴としか記載がない場合、等級1~2の可能性もあり、雨で故障することもあるので、詳細な防水・防滴性能を知りたいときはメーカーに問合わせる必要があります。
VOICEはIP54と明記してあるため、粉塵の舞う現場でも、不注意で水がかかってしまっても直ちに故障することはないので安心です。
2-2 レーザー墨出し器VOICEの防塵・防水性能と口コミ
VOICEの防塵・防水に関する口コミや評判は特に見当たりませんでした。
3 レーザー墨出し器の振動性能
高層ビルなど現場によっては絶えず振動が発生するところもあり、レーザー光がずっとブレていては使い物になりません。
レーザー墨出し器は制動方式によって振動に対する強さ、機器の精度の狂い方、耐久力などが異なるため、その違いについて調査しました。
3-1 制動方式による振動性能の違い(ジンバル式・電子整準式)
レーザー墨出し器の弱点として、振動が多い現場だと水平線が上下に大きくブレてしまって位置が定まらないことがあります。このブレが大きいかどうかは機械の制動方式によって変わってきます。
国内のレーザー墨出し器には2種類の制動方式が用いられています。
磁気制動式マグネットダンパー・ジンバル式
磁気制動方式は、下げ振りと同じで重りを下げると真っすぐ下を向いて正しい鉛直が出る原理を利用して水平を保つ仕組みで、振れ止めのために磁気を利用しています。単純な機工のため、長期的に制度を保つことができ、耐久性に優れています。
電子整準方式
電子制御方式は割と最近使われるようになったもので、傾きを検知するセンサーとモーターによって水平を保つ仕組みです。
マグネットダンパーに比べて振動に強いので、揺れの多い現場に向いています。
しかし、普通のレーザー墨出し器よりも更に精密な機器になるため、故障が多くなったり温度や気圧によって生じる誤差を小まめに調整する必要があり、メンテナンス費用がかかるという弱点もあります。
ここに2つの揺れに対する違いが分かりやすい動画があるのでご覧ください。
振動が継続的に発生する現場においては電子整準方式のほうが作業に向いているといえます。しかし、精度が狂いやすくメンテナンス費用も掛かるため、揺れの多い現場は電子整準方式、揺れの少ない、または揺れが断続的の場合は磁気制動式と使い分けを行った方が、使い勝手もよく費用も抑えられて良いでしょう。
ちなみに、ジンバル式のレーザー墨出し器を利用している方はご存知かもしれませんが、振動が生じる現場とはこのような現場になります。
通販で人気のVOICEは磁気制動式マグネットダンパー:ジンバル方式なので、振動が多い現場での利用はおすすめできないかもしれません。
しかし、ジンバル式は長期的に精度を保てるなど耐久性の面では優れており、1年間の修理保証や、メンテナンス費用も安価グリーンレーザー5ラインで5,000円税抜、フルラインで8,000円税抜きで対応も早いので、普段使い用に1台持っておくのは良いと思います。
3-2 レーザー墨出し器VOICEの振動性能と口コミ
VOICEの振動・揺れに関しては、次のような口コミ・評判がありました。

微調整つまみなどは、他社のものと遜色ありませんでした。
マグネットダンパーなので結構敏感に揺れます。
振動・揺れに関する口コミはほとんど見受けられませんでしたが、上に貼った動画のように電子調整式と比べてジンバル(マグネットダンパー)式のほうが揺れる構造であるため、主な作業現場がビルや3階以上の建屋の人は電子調整式の機種を選ばれた方が良いでしょう。
揺れが少ない現場であれば、ジンバル式の方が耐久性がありメンテナンスの頻度や費用も少なくて済むため、経済的です。