レーザー墨出し器の精度確認方法、精度調整費用はいくら?最もコスパの良い機種とは

最近はどこの業界でも高い生産性を求められていますが、土木・建築などの建設業界は災害復興などの緊急的な需要が伸びる一方、労働者はどんどん減少しているため、現場作業も少人数化・効率化しなければなりません。

レーザー墨出し器は建築測量(墨出し)を効率的に行えると人気の道具で、最近は10万円以下で買える安い機種も多数販売されています。

しかしいくら安くて便利なものとはいえ、精度がめちゃくちゃなものを使うと誤差と呼べないズレが生じてしまいます。

墨出しは2次元の図面を3次元に起こしていくための重要な作業で、ここで間違いが起こると後々の施工に支障をきたすため、施工に見合った精度が得られる機種を使わなければなりません。

と言ってもまずレーザー墨出し器の一般的な精度はどのくらい?とか精度確認の方法は?といった疑問も出てくると思うので、レーザー墨出し器の精度に関して調べてみました。

レーザー墨出し器の精度の規格

いくら精巧に作られた機器でも、パーツのできや組み方などのどこかで個体ごとにズレが生じてしまいます。レベル、トランシット、トータルステーションなどの測量機器は精度の測り方が規定されており、それに基づいた精度表記がなされています

どれだけ正確に測量を行ったとしても、機器自体が狂っていたら元も子もないですからね

では、レーザー墨出し器の場合はどうでしょう。

製品の種類によってはレーザーレベルなどとも呼ばれるレーザー墨出し器ですが、実は測量機器ではなく、あくまで墨出し器というカテゴリーになります。

そのためレベルなどの測量機器に比べると精度はよくありませんし、計量法トレーサビリティ制度において取扱われていないため、精度の測り方も規格化されておらず、校正証明書というものがありません

一昔前のレーザー墨出し器の精度は±1mm/5m程度でしたが、最近のレーザー墨出し器は±1mm/7.5m±1mm/10mが主流となっています。

ただし、精度表記が同じでもメーカーごとに測定方法は若干異なるため、厳密に同じ精度というわけではありません。

例えばTajima(タジマ)では照射ライン精度到達点距離精度という2つの精度を設けています。

  • 照射ライン精度:水平ライン長さ10mを投影できる距離(約3.5m)での精度
  • 到達点距離精度:本体下部ポイントを中心に制度±1mmに入る距離

カタログなどに大きく記載のある照射ライン精度±0.61mm/10mと見ると高精度に見えますが、これは水平ラインを10m投影できる距離(約3.5m地点)における精度のことで、実際10m時点での精度は到達点距離精度の±1mm/10mとなります。

異なるメーカーの精度を細かくチェック・比較したいときは、それぞれの会社ごとの精度表記、測り方を確認する必要があります。

レーザー墨出し器の精度の確認方法

レーザー墨出し器は使用しているうちに少しずつラインがズレてきてしまうので、誤差が許容量を超えてズレとなる前に定期的にメーカーにライン調整をしてもらわなければなりません。

精度調整頻度の目安は1年~1年半が望ましいとされていますが、製品によって狂い方にも差があるため、自分で精度の確認を行って調整時期を判断するのも良いと思います。

誤差がメーカー仕様の許容精度内にあるか正確に確認するためには、メーカーがごとに決められた精度の確認方法に従って誤差計測を行う必要があります。

しかし、大まかにズレ具合を検証するのであれば、精度を測る原理は基本的に同じであるため、次のような精度確認方法を行ってみるのがおすすめです。

※精度確認は床が平らで、風や振動の影響を受けず、レーザー光が見やすい屋内などの場所で行います。

鉛直(縦)ラインの精度確認

鉛直ラインが傾いていないか確認するためには下げ振りを使います。

  1. 壁から5mほど離れた位置にレーザー墨出し器を整準します。
  2. 壁の高さ3mほどの位置に下げ振りを下げます。
  3. 下げ振りを固定したポイントと下げ振りが降りた先を基準のポイントとしてズレがないか確認します。
  4. 鉛直ラインが2本~4本ある場合は、本体を回転させて全てのラインを確認します。

鉛直ラインの精度確認方法

水平(横)ラインの精度確認

水平全周タイプ

  1. 壁から3mほどの地点に壁側を正面としてレーザー墨出し器を整準します。
  2. 水平ラインを照射し、壁にレーザー(幅)の中心の位置をマーキングします。
  3. レーザー墨出し器を回転させながら、マーキングした印とズレが生じないか確認を行います。

水平全周のグリーンレーザー墨出し器の水平ラインの精度確認方法
水平全周ではないタイプ

  1. 壁から3mほどの地点に、レーザー墨出し器を整準します。
  2. 水平ラインを照射し、水平ラインの左右どちらかの端が正面の壁に当たるよう向きを調整し、中心(幅)の位置をマーキングします。
  3. レーザー光のもう1方の端がマーキングポイントに重なるまで本体を回転させ、印とレーザー光にズレがないか確認を行います。

水平全周ではないグリーンレーザ墨出し器の水平ラインの精度確認方法

通りの精度確認

  1. 水平に10m以上の水糸を張ります。(直線の基準となるもの)
  2. 水糸の中央(A)と両側5mの地点(B,C)をそれぞれマーキングします。
  3. 中央のポイントAにレーザー墨出し器をセットし、鉛直ラインを全て照射します。
  4. 鉛直ラインをポイントBに合わせたとき、反対側に照射されるレーザーとポイントCとのズレを確認します。
  5. 鉛直ラインが複数ある場合は本体を回転させて、全てのラインを確認します。

レーザー墨出し器の通りの誤差、精度確認方法

大矩(直角)ラインの精度確認

  1. 水平に10m以上の水糸を張ります。(直線の基準となるもの)
  2. 水糸の中央(A)と両側5mの地点(B,C)をそれぞれマーキングします。
  3. 中央のポイントAにレーザー墨出し器をセットし、鉛直ラインを全て照射します。
  4. ポイントB,Cに対して直角に照射されたレーザーのポイントAから5mの地点にマーキング(D)を行います。
  5. ポイントD向きのレーザーがポイントCに重なるよう本体を約90℃回転させます。
  6. 本体の回転に伴いポイントBからポイントD向きになったレーザー光とポイントDのズレを確認します。

レーザー墨出し器の大矩ラインの誤差、精度確認方法

鉛直クロスラインの精度確認

  1. 高さ3mほどの水平な天井ある場所を選びます。
  2. 本体を設置してレーザーを照射し、床の地墨ポイント(A)と天井のクロスライン交点(B)をマーキングします。
  3. 本体を180℃回転させ、地墨ラインをポイントAと合わせます。
  4. 照射されたクロスラインとポイントBのズレを確認します。

レーザー墨出し器のクロスラインの誤差、精度確認方法


精度確認の結果、ズレが大きい場合はメーカーに精度調整を依頼しましょう。その場合、早くて3日~1週間程度、修理が必要だとさらに時間がかかる場合があります。

精度確認は現場に入る前にやや余裕をもって行うか、レーザー墨出し器を複数台持っておいた方がよいでしょう。

レーザー墨出し器の精度調整(ライン調整)の値段

レーザー墨出し器は内部の小さなネジによって㎛(マイクロメートル:1/1,000mm)単位の精度調整を行っていますが、使用時の振動だけでなく温度変化による部品の膨張・収縮で狂いが生じてくるため、使用頻度に関係なく年1回を目安にライン調整を行うことが望ましいとされています。

この調整頻度はレーザー墨出し器本体が高いか安いかは関係ありません。コストを下げたい人は本体価格だけでなく調整費用も確認しておいた方が良いでしょう。

レーザー墨出し器の精度調整(ライン調整)・メンテナンス費用は、明確に〇〇円と表示しているところは少なく、一度見積もりに出してみて分かるというものが多いようです。

修理・メンテナンスを行っている会社では次のような値段から調整が行えます。

  1. Tajima(タジマ)・ムラテックKDS:12,000円~
  2. STS、マイゾックス:6,000円~
  3. FUKUDA(フクダ):1,500円/1ライン~
  4. VOICE(ボイス):1,000円/1ライン

タジマなどは12,000円~となっていますが、おおよそ3~4万円くらいはかかるようです。レーザー墨出し器を複数台持っているとかなりの出費になってしまいますね。

それに対してVOICEは、販売ルートを通販のみにするなどコストを抑えているためメンテナンス費用も1ライン当たり1,000円(税抜)と業界でも激安かつ明確な値段設定となっています。

VOICEのグリーンレーザー墨出し器の中で人気の、次の2つのモデルを見てみると

  • VLG-5X:5ラインモデル(水平+鉛直(大矩)×4本)
    【本体価格】39,490円(税込)
    【調整費用】5,400円(税込)
  • VLG-8X:フルラインモデル(水平全周+鉛直(大矩)×4本)
    【本体価格】74,800円(税込)
    【調整費用】8,640円(税込)

精度も±1mm/10mと申し分ありませんし、予備として買っても、メインとしてハードに使ってもトータルコストをとても安く抑えることができるのでおすすめです。

>>精度調整も安くて速いレーザー墨出し器【VOICE】

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